「うぉぉおおおおおおお…………!!!!」
背後から聞こえる声。
何かを渇望し、欲するものだけが発する声。
そして・・・・
「くっ!!!」
反射障壁が燃え上がる。
障壁内を満たしていた神々の息吹も業火へとその姿を変える。
私の体を蝕む焔。これはクラウソラスの焔だ。
「見事」
覚悟はしていたとはいえ・・・・受けるのは辛い力だ。
燃え上がる私の体。
焔になびく私の髪。
両腕で自分の体を支えるかのように抱きしめ、思わず天を仰ぎ見る。
異質な焔に包まれながらも炎上する私の体はダメージを受けるたびに力を増す。
気焔万丈・・・・私の持つ力は体が炎上するたびにその力を増す。
そして、力が増したことで感じ取る男の気。
・・・何かが変わっている?感じるのは違和感。
あの男は一体何者なのだろう?
先ほどまでとは違う。
何かが目覚めた。
私が起こしてしまった。
戻って様子を確かめるべきか、それとも・・・・
私はしばし逡巡する。
そういえば報酬の素材ももらっていなかった。
あれはハーカさんにあげる予定のものなのに。
あの男が危険かどうかはわからない。
あの男のところに行って、あとをつけられたら?
マナのところに誘導する気にはなれなかったが、このままでは、きっと、あの男は私を探すだろう。
それは困る。
ふと、思い出したのは、もう一つの小屋
マナが湖のほとりに居を構えると決める前にもう一箇所悩んだ場所があった。
小さな小屋で、市場に近いので便利なのだが、とても辿り着きにくい場所。
よほど身の軽い者ではないと辿り着けないような崖の上にその小屋はあった。
マナは確かあの小屋をいつか使うかもしれないからと確保していたはず。
身軽そうな男。
あの男ならあの小屋に苦もなく辿り着けるだろう。
私は小屋の場所を紙にしたためて、その場所に残した。
その場を立ち去り、戻る先は崖の上の小屋。
マナは心配するかもしれないけど、あの男をマナのところへは連れて行けないから。
私は畏れていた。
あの男の変化が何をもたらすのかを畏れていた。
良いことなのか、悪いことなのか・・・・変化があったことだけは事実。
私はこの地に顕現して以来、はじめてマナと離れて休んだ。
寂しくて、心細くて・・・・
そして、夢を見た。不思議な夢を。
翌朝・・・・・小屋の扉をあけたとき、扉に何かが当たる。
そこに置かれていたものは1個のアルミ缶とそして1枚のメモ
メモに書かれていた言葉は・・・・・・・・